2007年02月07日
雨のち晴れ時々山歩#02
1331年9月頃、
吉田さんはつれづれに徒然草を執筆した。
----第五十五段-----
家の造りは、夏を基本とするのがよい。
冬はどのような家であっても住むことができるが、
出来の悪い家では、
夏の暑さに耐えることも難しいだろう。
それから676年後の2007年2月。
家の造りは依然夏の暑さにも、
冬の寒さにも耐えられない。
夏の屋根裏は灼熱の暑さ。
エアコンのない部屋は茹だるような暑さ。
冬の廊下の床は氷のように冷たく
冷凍庫のような浴室と洗面脱衣室。
アルミサッシからは冷気が流れ落ち、
隙間風が枕元を流れる。
結露はダニ、カビの温床となり、
柱は腐朽してシロアリをよんだ。
断熱ラインもなく隙間だらけの
きわめてエネルギー効率の悪い住宅で、
室内の快適性は
家電、住宅設備に大きく依存していた。
2005年2月、京都議定書は発行されたが、
世界の足並みはそろわず
大気汚染はますます深刻化し、
異常気象をもたらした。
度重なる集中豪雨や台風、
極地の氷は崩れ落ち、
世界では水不足、食糧不足が頻発、
新種のウィルスが蔓延し、
自然状態の100倍の速度で生物が絶滅。
地球温暖化は加速した。
----第百五十五段----
・・・春が終わると夏がやって来て、
夏が終わると春がやって来るのではない。
春は早くから夏の空気を作り出し、
夏の中には秋の空気が混ざっている。・・・
木の葉が落ちるのも
落ちてから芽生えるのではなくて、
地面から芽生える力に押し出され、
耐えられなくなるから落ちるのである。
新しい力が地面で待っているのだから、
変化するスピードはとても速い。・・・
さて、さらに676年後の現在、2683年。
かつて『奇跡の惑星』と言われた
赤茶けた薄汚い地球を横目に見ながら
無機質な宇宙船の部屋の中で
吉田さんはつれづれに日記を書き記している。
住宅建築の古文書、
『いい家』が欲しい。を読みながら、
いまだ見たことのない、
無垢の木と二重の空気層に包まれた家、
青い海、青い空、緑の森を夢見ながら・・・
設計G J.M

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